顕微鏡の世界に診るイオンデポジット
CPMでは撥水系のコーティング剤を主体としていますので、耐イオンデポジット性向上のため「イオンデポジットの研究~解明」を続けています。顕微鏡の世界から見るデポジットとは?
固着物「イオンデポジット」
付着要因や原因、何なのか?という部分に関しては「イオンデポジットの原因」に書かせていただいていますが、なぜこんなにも定着・固着の結合エネルギーが強いのか?という部分に関してはユーザー様の中にも非常に疑問に思っている方が多いのではないかと思います。
顕微鏡から見る「粒子の細かさ」
乾燥した後に残るのは「白いもの」ですが、これらは水の中に溶けていた金属イオンです。多く含まれるのがカルシウムイオンなどで、これらが塗装上で乾燥するだけで非常に落ちにくい固着物として塗装から取れなくなってしまいます。
もちろん固着化したものが全て落ちない訳ではなく塗装表面に付いた一部がまるで一体化したように取れなくなるのです。
顕微鏡で観察すると限界倍率付近でやっと「粒子状の物体が集合して固着した」ということが分かります。
水を溶媒として超微粒子の顔料を塗膜定着化させる水性塗料のような仕組だと感じました。硬度も高く非常に厄介で、一度出来るとその部分に水分が集まりやすいため、繰り返し同じ場所で固着します。
そうするとイオンデポジットのイオン結合が塗膜内に侵攻してクレーターのようになってしまうこともあります。
これは親水や低撥水被膜でも積層したイオンデポジットで起きる現象なので油断はできません。
目立ちにくいからこそ気がついた時には全面手遅れというケースも多いのです。
開発でファインパウダーを扱うことが多いのですが、粒度が細かくなれば細かくなるほど物性が活性化し様々な効果の向上が期待できる反面、凝固しやすかったり分散不良になってしまったりと問題も多く発生します。
イオンデポジットは水分中に分散したナノレベルのカルシウム等の金属イオン粒子が凝固、固着した問題の産物と言えそうです。