ページタイトル

被膜の表面特性・親水性

親水性のコーティング剤の表面特性(画像付きの解説)、被膜の防汚性能などについて

親水性とは

読んで字のごとく、水と親和性のある状態のことを親水といいます。疎水性と対を成す状態を表し、対水接触角度が低い状態を指します。

対水接触角度とは塗装面に出来た水滴がどれだけ潰れているか、球状を成しているかの目安で、角度が大きいほど「撥水=疎水の度合いが強い」、角度が低いほど親水性の度合いが強いということになります。

親水性の表現について

一般的に化学の世界では対水接触角度が10°以下を親水、3°以下を超親水と呼んでいますが、自動車コーティング業界では20°以下位から親水状態としている傾向が強く、そもそも測定器を使用しているとは思えないデータもありますので、あくまでも目安的な表現と解釈しておきましょう。

 また弱親水のような造語表現もみられるので、ますます解釈が困難になっています。傾向的に弱親水とは=低撥水状態、対水接触角度が30°前後のときの主に用いられる表現のようです。

sinsui-kaisetu.jpg

 写真は自動車コーティング剤でいえば親水性に当たる被膜特性で、水滴の縁が曲線を描かず歪になっているのが特徴です。

親水性コーティングの傾向と特性

 実用域では超撥水被膜よりも超親水被膜のほうが現実的に採用可能で、実際問題活用されているシーンとしては多いと思います。

 例えば建築塗料の分野においては車のように「洗車」できないのでメンテナンス性において親水系の被膜が有利であり、酸化チタンによる超親水被膜と自己清浄(セルフクリーニング)作用によって確かな実績を残しています。

 更に言えば耐久性においても表面構造が多少変化しても親水性を保てるため、超撥水被膜よりもシビアではない親水被膜は有利となっています。

 それでは自動車コーティング剤で、防汚性能が優れており現実的な耐久性においても有利な親水性が「スタンダード」にならない理由は何なのか?という問題です。

被膜形成の難しさ

 方法はあるのですが「超親水」レベルの被膜を「塗って拭くだけ」で形成することができないという点が一つ。もう一点は建築塗装分野と自動車塗装分野における「求められる美観のレベル」が全く異なるレベルだからという点です。

 塗装の上に塗って拭くだけで被膜を形成しなければいけないという要求難度は相当です。本来被膜を得るために必要な行為は刷毛やローラー、スプレーによる塗装やディップ(浸漬)という方法が必要で、更に処理には熱処理などを施すのが一般的です。

 にもかかわらず、自動車コーティングに要求されるのは塗って拭く、しかも常温で被膜形成しなければならないのですから要求としては滅茶苦茶ではあります。

美観における問題点

二点目の美観のレベルの問題。建物の塗装されている部分が自動車レベルの光沢をもっている事ってありますか?艶のある部分といえばガラスや大理石を使っている部分くらいではないでしょうか?

自動車の塗装は艶があって当たりまえ、更に艶の度合い・深さ、染みや傷の有無まで求められるのですから、超親水が可能か不可能かという以前に美観の問題がクリアできないという問題に当たります。

 自動車塗装において親水性を体感できるシーンとして、バンなどの営業車の白がザラザラの粉吹き状態・・・あの状態は親水状態と言えます。確かにイオンデポジット(水の乾いた輪染み)などは出来ませんが、自動車塗装の美観において語る以前の状態です。

被膜特性による問題

 超撥水や超親水、美観の問題がクリアできないという点に関係しますが、いずれも単純平面面積あたりの表面積がどれだけ稼げるかという課題があり、そこから表面張力が強いか弱いかで超撥水か超親水かに分かれます。

 超親水でいえば表面張力が強い物質でどれだけの表面積を得られるかが課題です。お気づきかもしれませんが、表面積が多い=表面構造に突起や凹凸が必要=艶が出ないということにつながります。

 極薄膜処理することによって違和感のないレベルの超親水被膜形成技術もありますが、艶においては他製品に一歩譲る状態であること、超親水の持続期間に問題があること、塗って拭く施工では不可能であることなどから課題を抱えているのが現状です。

 このことから防汚性能、美観のバランスを考えると「酸化チタンによる超親水」ではなく、ガラスに転化するポリシラザンを用いた親水性のコーティングが最も実用域で有効であり、採用もされています。

 撥水系に比べて圧倒的に水膜のようになりやすく、黒い筋のような汚れはもちろん全体的な汚れ具合としては雨天後に比較すれば明らかに分かるくらいの差が出ます。この点の優位は揺るがないでしょう。

 ただし現実問題として雨は細かい水滴で降ること、中途半端で止んでしまうこともあるため完全に水膜で汚れを浮かすということはできません。また洗車時の水キレが悪い、洗車機ユーザーはブロー行程の有効性が低いなどの問題も抱えています。水の切れが悪いと洗車時間の長期化や拭き取り回数増加による洗車傷の増加などの問題も発生してきて

超撥水、超滑水ガラスコーティング エクスシールド

TOPPAGE  TOP