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タイヤコートの種類、選び方の解説

意外と難しい「タイヤを本当の意味」で保護し、美観を保つためのタイヤコート選びについて。

タイヤコートに求められる性能

 CPMが考えるタイヤコーティングに求められる性能とは、1、タイヤを傷めず保護すること、2、タイヤを綺麗に見せること、3、タイヤの汚れを落としやすく、付きにくくすることです。

 この条件をゴムであるタイヤに付加するのは意外と難しいのです。現状販売されているタイヤコーティングの種別から比較検証し、どのようなタイヤコートが良いのか考察してみましょう。

タイヤコートの施工形体

 これは完全に好みの問題も出てきますが、現在手塗りのワックスタイプ(油性)、リキッドスプレータイプ(油性・水性)、エアゾール(油性・水性)の3種が確認できます。市販品ですとエアゾールスプレー、業務用はリキッドスプレー(手動の空気で噴射する液体タイプ)が主流です。

 それぞれに特徴がありますので下にまとめさせていただきましたが、一般的な製品特長を書かせていただいており、当てはまらない製品もあるかと思います。非常現在のカーケミカルはに多彩で完全に細分化して書けない部分もあることをご了承ください。

タイヤコートの効果(洗浄効果・美観向上・保護性能)

 完全に艶出しのみを目的としたタイプ、クリーナーとワックス効果を兼ねるタイプの2種に大分することができ、艶出し剤の中に「黒」の着色成分を含むタイプも多くみられます。

 CPMとしては洗浄兼用タイプは洗浄剤が残留する可能性もあり、お奨めしません。洗浄に関してはタイヤを洗う時にブラシで擦って完了で十分です。それ以上に洗浄剤などを使った汚れ落としは日常のメンテナンスとしてゴム素材であるタイヤに対して負荷が高すぎます。

 揮発性の洗浄剤で残留がないとしても、タイヤを傷める上に汚れが流れず残留してしまえばタイヤの洗浄効果としても高い効果は望めず、結果的に艶出し効果による誤魔化しになってしまう感じが否めません。

 ちなみに着色剤配合の製品に関しては大いに支持したいと思います。靴墨などがあるように、最初から「黒である」と分かっている製品に対して黒さを強調させるための着色料は、無理に洗浄剤でタイヤの汚れを落とすよりも合理的であると判断しています。

 ただ、黒い成分でユーザーの衣服を汚してしまうケースなどは想定できますので、完全に固形化して色移りしないような製品であることが望まれます。

 更にタイヤコートは油性、水性などの性質によっても効果や性質が分かれています。以下。

油性タイヤコート

 艶出し成分のオイルを石油系有機溶剤で希釈した製品。艶出し剤としての油分は非反応性のシリコンオイルが主流です。石油系溶剤を溶媒としている場合は溶かしこめる成分が多彩なためカルナバなどを配合しているケースもあります。

油性のメリット

 油分をそのままタイヤに残せるため艶出し性能においては非常に優れており、とりあえずその場で綺麗に見せたいという場合には非常にお奨めできます。

 製品によっては安価で手軽に手に入りやすいという点も魅力の一つかと思います。

油性のデメリット

 ショウカー(展示車)でもない限り実用性は乏しく、油分によって汚れを呼び寄せるケースがほとんどです。更に問題として汚れの吸着に加え、溶剤でタイヤの成分が溶け出し、艶出し成分と混ざって残留するため黒い油被膜となって衣服(足元)を汚す原因にもなります。

 他の弊害として呼び寄せた汚れと艶出し成分が混合してタイヤ面に残留し、汚れたコート剤の被膜除去が非常に困難になってしまう点が洗車時に一番の問題になります。(ブラシでこすればブラシが使い物にならなくなります)

 油分での保護性能はありますが、使用前提として石油溶剤でタイヤを攻撃しますので、頻繁に使用するとタイヤ(サイドウォール)側面に細かい亀裂が無数に入る現象(ケミカルクラック)が発生します。

 これによるタイヤの安全性が損なわれるようなケースはほぼ考えなくて良いと思いますが、美観を維持するためのタイヤコートで亀裂を誘発してしまうのは本末転倒にも思えます。

 油性のタイヤコートの中でも汚れを呼びにくい製品等もありますので、製品のキャッチコピー等をよく見ることをお勧めします。しかしながら基本的に第一、第二石油類表示の溶剤を使用したタイヤコートは溶剤による攻撃性は少なからずあると思っておきましょう。

水性エマルジョンのタイヤコート(水性タイヤコート)

 エマルジョンとは油性のものを界面活性剤で水中に分散させた状態を指し、水性タイヤコートは艶出し成分であるシリコンオイルなどを界面活性剤で乳化させた製品となります。

水性エマルジョンタイプのメリット

 界面活性剤による分散なので石油系有機溶剤と比較してタイヤのゴム素材に対する攻撃性が少ないのが「保護」の観点から優れていると言えます。

 また油分がタイヤ面に層状になって残留しないため、油分による汚れの吸着がなく、むしろタイヤ表面が艶出し保護成分によって程よく整えられるため防汚効果を発揮します。

水性エマルジョンのデメリット

 おおよそメリットに相反する部分で、油性タイヤコートのように油分が直接残るタイプではないので艶感に乏しいのが最大のデメリットです。この点は自然な艶を好むユーザーとってはデメリットになりませんので、好みによるところはあります。

 石油系有機溶剤よりも攻撃性はありませんが、エマルジョン化のために用いられている界面活性剤の種類によって多少の攻撃性はあります。水性は全くタイヤに悪影響を及ぼさないと誤解しているケースも見受けられますが、必ずしもそうではありません。

 耐薬品性が低いゴム素材は、エマルジョン化に使用されている界面活性剤の影響を少なからず受けます。これは使用されている界面活性剤の種類、濃度が適正であるか否かが重要になっており、この部分を判断するのは検証が必要であり、普通に使っている限りだと分かりにくいと言えます。

 分かりにくいという事実をポジティブに捉えるならば「検証しないと判断できかねるレベルである」=「大した影響はない」とも言えます。

メリット、デメリットを考えて判断

 水性、油性、それぞれメリット、デメリットが存在するため以上の情報をもとにユーザー様の判断で選んで頂くことによって満足のいく製品が選定できると思います。

 上記の情報は、あくまでも一般的な製品においての「傾向」なので、当てはまらなかったり、尺度がら出る製品もあることをご了承頂ければ幸いです。

 よく、油性はタイヤを傷めるからダメ!など知識だけを基にし、ユーザー自身の好みなどを蔑にした「主張や押し付け論」を目にしますが、タイヤが走行において危険になってしまうような直接的原因になることは実はありません。

 確かにタイヤ表面を傷める事実はありますが、紫外線による素材劣化の方がよほど深刻であり、タイヤコートによるタイヤバースト事故などは因果関係として認められていません。「表面の早期劣化が起きる可能性」を知った上で艶を重視したい場合は使っても構わないわけです。

CPMが考えるタイヤコート

 美観、保護性能はタイヤコートとしての性能として大前提。そうなってくると非石油系有機溶剤系である水性が無難になってしまいますが、水性が美観において劣るのは事実ですし、耐久性も決して長くはありません。

 そこで水性をベースの考えとして、艶と耐久性をどこまで向上させることが出来るのか?エマルジョン化する際の製法と飽和量に着目して研究しています。

 また、もう一つタイヤコートの概念を変える全く新しいものも研究中ですが、検証と適材選定に非常に時間がかかるかも知れませんので現在非公開ですが、実現すれば水性と油性の利点を併せ持つタイヤコートが出来るかもしれません。

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