コーティング剤の耐久性について
5年間持続!?コーティング剤の耐久性は何を基準に「耐久」なのか?その疑問に答えます。
Q,5年間保証のコーティング剤は本当に5年間持つのでしょうか?
A,保証規約の解釈であれば5年間耐久します。
いかにも業者っぽい答えをしてしまいましたが、保証規約に則った解釈であれば基本的に5年間持続しないコーティング剤はありません。例えそれがコーティング剤の実力が無関係であったとしてもです。
規約には遵守事項を守ってメンテナンスも定められたとおり行った場合、新車時に比べて塗装の光沢度を一定以上保持していることを「コーティングの耐久性」と解釈できるような記載をしている場合がほとんどです。
塗装表面は、よっぽど酷い扱いをしない限りはコーティングの有無に関わらず新車から5年以内に光沢劣化はしません。メンテナンスキットが存在し、それを使ってメンテナンスをするのであればなおさら光沢の劣化が見られるはずもないのです。
樹液、鳥糞、イオンデポジット、虫などの被害によるシミ、鉄粉に関してはすぐに除去すること。それらの放置による塗装のダメージは保証対象外になっていることが殆どといいますか、保証対象のコーティング剤を見たことがありません。
Q,5年後に被膜が残っているか否かという点では?
A,一般的な使用状況下での被膜残存は不可能かと思います。
硬化系以外のポリマーが5年間の通常使用下で塗装表面にその被膜を残しているかどうかと言いますと、ほとんど可能性はゼロに近いと思います。
新車時の施工直後にレーザー顕微鏡と走査線顕微鏡などで被膜を3次元計測する→5年後に同様の計測を行う。というようなことで観測可能かもしれませんが、いくらでも言い逃れできそうです。
莫大なコストがかかるためここまでやる人は居ないと思います。何度か保証問題では裁判にもなっているようですが、保証発行側に有利な約款になっている為、揉めるだけ無駄に終わってしまうケースがほとんどです。私自身この点については言及しようとも思いませんが、良い気持ちは抱いておりません。
逆に硬化被膜型は塗装に近い感覚の性質で、摩擦や耐溶剤・耐薬品性が高いので使い方によっては5年以上被膜残存している可能性があります。それでも1μ以下の被膜であるが故、洗車回数などによっては1年~3年程度で初期の被膜は無くなると思われます。
ただし、硬化系コーティングには塗装分子と結合するような定着=すなわち架橋による定着をするので厳密にいえば塗装表層がコンパウンドなどで磨き落とされないかぎり成分の残存はしていると考えることもできます。
これは分子単位で非常に綿密な結合をする一部のガラス繊維ケイ素系コーティングと言われているタイプにも言えることかもしれませんが、化学的視点では観測出来ていないため、あくまで推測になります。
Q、撥水が無くなったら被膜も無くなっているのでは?
A,必ずしもイコールではありません。撥水性質はあくまで表面性質です。
もちろんそのような場合もあるとは思いますが撥水が無くなる=コーティング被膜が無くなるということにはなりません。可能性はありますがイコールではないと言うことです。
塗装を考えてみてください。自動車の塗装は最初は何もしなくても弱撥水~撥水の状態です。しかしながら使用していくうちに撥水状態ではなく親水に近い状態になり、塗装が劣化すると親水状態になってしまいます。
これは塗装の持つ表面構造が破壊~変化することにより表面張力が強くなり撥水しない状態(=親水)に変化しているからです。
コーティング被膜においてはこの表面の撥水構造を撥水基などという呼び方をしますが、ケイ素系における環状撥水基、フッ素系における繊毛状撥水基などが代表的です。
この「撥水基」は熱、紫外線、摩擦や薬品などによって構造が破壊されますので、その状態が撥水しなくなった~あるいは撥水が弱くなった状態であり、イコール=コーティングの被膜がなくなったとは判断出来ません。
もっともコーティングやワックスの被膜は塗装に比べて非常に薄いため撥水基が破壊されればコーティング被膜も少なからず消耗していると判断することはできますし、あるいは無くなっている可能性としても否定できません。
弊社エクスシールドに関しても塗装に結合している層と撥水構造を形成している層に分けて考えることができ、撥水が弱くなってもコーティング被膜としては残存しています。
ただし撥水が弱くなっているということはコーティングとして被膜が残っていても防汚性能などが低下していることには変わりありません。コーティングの本質は被膜が残っていればそれで良しというものではなく、いかにして塗装面を保護し続けるかという一点です。
そのため弊社CPMではメンテナンスと同時にその超撥水・超防汚層を再形成するReシールドを開発し、製品化しております。