デポジットブレイカーの被膜への影響
イオンデポジット、ウォータータースポットの強力溶解除去剤、デポジットブレイカーのコーティング被膜への影響に関して。
デポジットブレイカーの被膜への影響の有無
まずは本題の回答を単刀直入に記載しておきますと。影響はあります。ただし状況によって影響度は異なり、イオンデポジットの深度が浅ければ浅いほど影響は少なくなります。
理由やメカニズムは以下を参照して下さい。
まずはイオンデポジットが何であるかを知る。
イオンデポジットに関しては付着原因やメカニズムなど、他のページで解説しておりますので参照していただければと思います。
イオンデポジットの原因、イオンデポジット除去方法 を御覧ください。
一般的に認知されている用語としては「ウォータースポット」が認知度として高い言葉になるかと思いますが、イオンデポジットウォータースポット、輪染み、雨染みなど輪状の白い痕跡全般に関して解説させて頂きます。
コーティング被膜の撥水原理
被膜が撥水性質を示す要因として大きく2つ挙げて解説いたします。
1,素材そのものの撥水性質(疎水性質)
水は油を弾く。というように素材そのものが疎水性を示すために発生する「撥水・疎水」です。カルナバ蝋などをはじめとする天然油脂・樹脂、化学合成製品で言えばシリコーンオイル。これらは素材そのものが塗装面に薄い皮膜を形成するだけで水を弾くことができます。
液状を示していなくとも、石油製品であるプラスチック(樹脂)と呼ばれる素材は概ね撥水の性質を示す。一方素材の中でも金属やガラスに関しては親水性を示します。
2,被膜表面の構造
2D平面で見た場合の表面積と3D立体で見た場合の表面積に差があればあるほど、撥水や親水性の性質を強く出すことができます。
要は、表面に細かい凹凸があればあるほど表面積を稼ぐことができますので、撥水性・親水性が強調できます。弊社エクスシールドに関しては被膜素材の撥水性+表面構造によって強力な撥水性を実現しています。
表面の凹凸構造は微細であるほど効果が高く、目が粗い場合は艶・光沢面においても影響が出ますので好ましくありません。
ワックスなどでは硬化反応、化学反応を伴いませんので被膜の構造体を施工後に変化させるということは不可能ですが、エクスシールドを始めとするCPMコーティングは化学反応によって後から被膜を硬化・性質変化させます。
そのため時間経過後に撥水性質が大きく変化するのです。
CPMの代表製品としてエクスシールドの被膜
電子顕微鏡などで構造証明まではできませんが、エクスシールドの被膜は表層が撥水性質、密着被膜層はガラス質の性質を持っており、表層の撥水性質を強くしている部分が壊れると撥水低下、更に被膜表面が物理的な摩擦などで消耗。紫外線などの影響で劣化・分解しますと撥水性質がなくなっていきます。
定着ガラス層は容易に除去出来ませんが、この部位が残っているからコーティング被膜は残っている。というような横暴は申しません。コーティングの被膜は機能しなくなった時点で効果切れで、メンテナンスか再施工を行わなければいけません。
デポジットブレイカーを使用した際にコーティング被膜に影響があるか?という質問をいただくことがありますが、答えとしては影響があります。
被膜への影響メカニズム
イオンデポジットが通常の洗車の範囲で除去出来るような軽度であれば問題ありませんが、デポジットブレイカーでなければ除去困難なレベルに達した状態である場合は、少なからず被膜の状態に影響が出ます。
イオンデポジットが固着している場合、非常に細かい粒子になってエクスシールドの撥水被膜構造と同化したような状態になっています。同化した状態からイオンデポジットが溶解除去されるとエクスシールドの撥水構造に影響を与え、撥水が低下します。イオンデポジットの深度によって撥水の低下具合が決まります。
なぜ水が乾いただけのイオンデポジットがこれほど強固に除去できないかと言いますと、その名の通りイオン化した状態から乾燥固着しますと時間経過と環境によって分子レベルで結合してしまうからです。
分子レベルの化学変化といいますと大げさに聞こえるかもしれませんが、金属が錆びるという現象も分子レベルの化学変化を伴いますし、もっと身近な事象ですと料理や掃除の中にも沢山の化学変化を利用・応用しています。
分子レベルの結合を化学反応によって、再び液中にイオン化させる。これがデポジットブレイカーの除去作用ですが、固着していた部分を完全に元通りにはできませんので、被膜の構造的に弱くなってしまったり剥離する箇所が出る可能性があるのです。