ページタイトル

イオンデポジットの除去方法

頑固で一筋縄では除去できないイオンデポジットの除去方法~研磨剤による除去方法の作業ポイント、ケミカルによる除去の作業ポイントなどを解説いたします。

イオンデポジットを除去するには

 イオンデポジットを除去する方法としては大きく分けて2つ存在します。研磨によって固着した部分を磨き落とす最もポピュラーかつ確実な手段。もうひとつは酸性のケミカルを使用して溶解して落とす手段です。

研磨による除去について

 メリットとしては研磨材を選ぶ手間を考えなければ単純作業で除去できます。物理的な引っ掻き傷や研磨痕を除けばケミカル特有の塗装への浸食ダメージ等の心配(リスク)が少ないです。

 デメリットは範囲が広かった場合、手磨きで全て磨き落とすのは非常に労力が必要であり研磨痕を残してしまう可能性があります。更にソリッドブラックなどでは相当研磨粒子の細かいものを選定しなければ磨いたところだけ白ボケするので、効率を考えると最低でも2種で2行程の研磨作業が必要になります。

 労力以外のもう一つのデメリットとしては「確実に塗装が摩耗する」ことです。研磨とは研磨するための粒子で塗装の表面を切削、すなわち塗装表面を削って新しい面を出す作業です。もちろん塗装上に付着した固着物を同時に削り落とす働きもありますので研磨=塗装にとって害悪であるとも言い切れません。

研磨で除去する方法

 コンパウンドの仕上げ用と磨き用2種、研磨パッド、コンパウンド拭き取り用のクロスを2枚用意します。コンパウンドを一種類にする場合は超微粒子の仕上げ用で根気よく磨くしかありません。粒子が粗いと白ボケ状態になったり削りすぎてしまったりしますので、微粒子で時間をかけて研磨した方がリスクは少なくなります。

 洗車後、ボディーに異物がない状態で四角いブロックに区切って縦横方向で磨いていきます。丸く磨いても構いませんが磨いた範囲が分かりにくくなり磨き斑が出やすい傾向にありますが、この辺りは人によって作業しやすい方を選びます。コンパウンドの粉をマイクロファイバークロスなどで拭き取って確認し消えていたら他のブロックを磨くという作業を繰り返します。

 ブロックで区切る理由は、磨き忘れを防ぐために移動した範囲内で「手が届く塗装面を磨く」という行為を繰り返すと、磨き忘れが発生せず均一に磨けるため推奨していますが、この方法でなければ磨けない、斑が出るといった類の技術ではありません。ルールを課すことによって自動的に斑や磨き忘れを防止するための作です。

手磨きのポイント

 全体的ではなく部分的に磨く場合も範囲を少し多めに取って磨きましょう。その部分だけ力を集中させて磨くと痕が残る可能性があります(特に濃色車)

 拭き取り時に強く擦ると、せっかくのイオンデポジット処理が傷の増産に繋がります。拭き取りはあくまでも拭き取り作業なので、汚れや取れない異物を発見しても「ついでに」という気持ちで擦ってしまうと思いのほか傷が入りやすいです。淡色車では気が付き難いので気になるのは濃色ユーザーだけだと思いますが、淡色も傷が入ることには変わりないです。

 手磨きとはいえ深追いは禁物です。「どの程度が磨きすぎ」なのか分かりにくいと思いますが「磨いても変化が見られない」ようなイオンデポジットに関しては深追い禁物という判断が分かりやすいでしょう。

 研磨パッド、研磨スポンジ、拭き取りに使用するクロスの面の汚れには注意して、汚れたら面を返しながら作業を進めましょう。

酸性ケミカルについて

 本来なら酸性ケミカルを一般ユーザーにお薦めすべきではないと思いますが、デポジットブレイカーは使い方さえ守れば塗装にダメージを与えることなく極めて簡易に強烈なイオンデポジットを溶解除去することが可能です。

 一般的に強力なケミカルは研磨よりも危険であるという認識がありますが、一概にそうと言い切れない側面もあります。

研磨=絶対に塗装を消耗する切削行為。

ケミカル=使い方を守れば塗装を消耗することなく目的を達成できる。

 非常に大切なことなのですが、万が一に失敗した時のリスク、そして失敗する可能性の%を考えた時にユーザーがどちらを選択するのか?一方的に決め付けるのではなく今の時代はユーザーに選択権があってもいいのではないかと私は思います。

 そしてメーカーと販社は「リスクを検証し明確化する義務がある」そう思います。強力な性能だけ謳って注意書きは小さく書く・・・これはリスクを明確化したことになるでしょうか?

 むしろCPMはリスクとデメリットの検証を徹底的に行って、本来表に出ることのないようなデータもオープンにしていきたいと思います。その上でユーザー様に支持していただきたい。それだけの価値と性能のある製品も存在するのだということを知っていただきたいと思います。

 肝心な性能ですが、手で研磨して1時間かかるイオンデポジットの除去が1分以内で処理できます。もしくは手でも機械でも除去できなかったようなイオンデポジットが2~3分で簡単に除去できます。

 異物や汚れの除去は化学的な根拠に基づいた処理が最も簡単であると痛感する瞬間を味わえます。油汚れはを水だけで洗っても取れませんが、洗剤を使えば分解除去が容易であるのと同じです。

酸性のケミカルで除去する方法

 イオンデポジットに対応したケミカルはアルカリ性のクリーナーもありますが、固着物がカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンなので「酸」を使ったクリーナーが非常に効果的な場合が多いです。

 ただし「酸」であれば何でもいいのかというとそうではなく、効果的な物とそうで無い物がありますので自動車の塗装面に固着したイオンデポジットの成分を良く分析した上で酸の選定をした製品が「効果的」かつ適切な製品です。このような製品を選ぶのが難しいというのも「ユーザーに対するデメリット」とも言えます。

 酸性ケミカル使用のポイント、注意事項

洗車後に使用するのが望ましいです。しかし液材を使ったあとは再度水で流さなければいけないので拭き取りが二度手間になり面倒です。よって、除去剤を塗りたい場所を先に部分的に洗って水分を拭き取り→除去剤を塗る→洗車の続きで一緒に流すという感じでもOKです。

 酸性系のケミカルは主に業務用で一般売りしているショップは少ないですが、放置時間等は販売元のマニュアルを厳守することをお勧めいたします。使っている酸の種類によっては人体にも影響がありますし、ボディーにも深刻なダメージが入る可能性があります。

 特に酸についての記載がない製品はフッ化水素酸を使用していることがありますので、そのような製品は避けたほうがいいかと思います。(フッ化水素酸の除去能力は強烈ですがガラスを溶解させるほど強烈であり毒物です)

 ただフッ化物を悪としているような記述も見たことがありますが、問題の劇薬はフッ化水素酸でありフッ化物そのものが危険なわけではありません。もちろんフッ素は少なからず毒性はありますが塗装に使用するにあたって効果的にデポジット類を分解除去できるフッ化物も存在します。

研磨除去とケミカル除去の比較とまとめ

 コンパウンドなどの研磨剤による除去は労力と若干の作業技術があれば可能で、酸性ケミカルに関しては労力や作業技術はほとんどいりませんが、万が一に失敗する原因を作ってしまった場合の修復が困難になるケースもあります。

 研磨剤にもケミカルにも同じことが言えるのは「急激な効果がある製品」はそれだけリスクも高いです。

研磨力が強い→削り過ぎ、白ボケの修正が大変になる。

溶解除去能力が高い→誤って放置して塗装焼け、シミになる。

 というようなリスクが発生する可能性があるのです。もちろん「リスク」とは失敗した時に降りかかるものであって、作業手順、使用環境、使用状況などの複数要因下で使用方法を誤らなければ問題なく使用できるのです。

以上の情報を参考にして自分に合った除去剤を選択し、作業することをお奨め致します

超撥水、超滑水ガラスコーティング エクスシールド

TOPPAGE  TOP