ドライ(乾式)施工・作業工程
洗車後に水分を拭き取った、乾いた状態からワックスやコーティング剤をかける「ドライ施工」の一連の作業の流れ。
1、作業前準備
もちろん洗車は絶対に行ってからコーティングやワックスをかけます。よって洗車時の注意点や作業工程はカテゴリー洗車を参照してください。
1-2、下処理での自由度
ウェット施工では洗車の拭き取り工程を負えない状態でコーティング施工という工程が入るため、水分を拭き取った後に行う下処理工程が行えないという問題点がありました。しかしドライ施工では、完全に下処理を行うも適当に行うのもユーザー次第ということになります。
ウェット施工で下処理が中途半端になるのはデメリットだけでなく、その反面で簡単に施工できる「労力低減」というメリットから生まれるものなので、どちらか一方の施工方法が優れているということではありません。
作業要領や注意点はリンク先(脱脂の作業方法と行程、脱脂工程の理由と必要性)を参照してください。
一つアドバイスですが、ダメージ処理から下処理を完全にこなそうとすると、かなりの労力を要します。好きな人はいいかもしれませんが、好きであってもそれなりに環境と時間と根気が必要になります。
適当ではなく「適度な状態」で妥協してコーティングの工程に入るというのも楽しい洗車とコーティングという趣味と付き合うためには必要かと思います。ドライ施工では自由度が高い分、凝り過ぎてしまうという傾向もあります。
1-3、洗車前~洗車中に処理できるダメージ
他のページでも記載して解説していますが、虫除去や鉄粉除去に関してはケミカルを使用すれば洗車前に液材を吹き掛けてから洗車することによって洗車中のダメージ処理が可能です。
またイオンデポジットに関しても、弊社のシャンプーを使用することによって軽度ならば洗車中の除去可能です。裏技的使用法になりますが、シャンプーの濃度コントロールによって強めのイオンデポジット分解もできますが常用外、多頻度禁止の使用方法になります。
1-4、洗車後に処理するダメージ
洗車前や洗車中に除去できなかったダメージを拭き取り時にチェックしておいて処理をするのが効率的です。拭き取り時には水分が切れて細部まで見えやすくなるので、汚れが目立つ部分やドライ施工時に障害になりそうな異物などは極力取り除いておきましょう。
特に注意したいのは、簡単に取れてしまいそうな「鉄粉」、ドライ施工のコーティング剤では比較的多くみられる溶剤を使ったコーティング剤で溶解して取れやすくなる「タール・ピッチ」などです。
他の異物類も同様のことが言えますが、この二つの異物は施工時に一緒に擦ってしまうことで特に深い傷を量産しやすいので例に挙げて注意喚起いたしました。
2、研磨・傷取り・傷消し
必須工程ではありませんが、もしも磨きによる処理等を行う場合は、洗車やダメージ処理が終わったこの段階です。気になる部分だけでもOKですし、機材や環境が整っているユーザーさんは本格的に磨いてみるのもいいと思います。
確かに小傷による白ボケやくすみ、磨きによってしか除去できないシミなどをポリッシャーなどで仕上げると見違えるようになります。古い車、塗装が傷んでいる車ほど視覚的効果は絶大です。
非常にデリケートな作業なのでコンテンツ準備中です。
3、脱脂行程
これも必須工程ではありませんが、簡単で効果が得られるので違う種類のコーティング剤を改めてかける時などは是非行っていただきたい作業です。
油分や溶剤で溶解する皮膜を除去して新しいコーティング被膜の定着性向上による耐久性向上や効果の適正化を目的としています。作業要領や注意点はリンク先(脱脂の作業方法と行程、脱脂工程の理由と必要性)を参照してください。
4、塗りこみ工程
俗に言われるワックスがけと呼ばれる行程です。
対象となるのは量販店で売られているようなワックス全般、ディーラー系で扱われている某PTFE樹脂コーティング等、一般的な油性のポリマーコーティングは同工程に属します。
具体的な施工方法は※適量をスポンジにとってやさしく丁寧に塗っていくだけです。(※量に関しては製品ごとに異なりますので確認しましょう)
推奨する塗り方として淡色でも縁の塗り忘れがないように1パネル縁取り施工を推奨します。スポンジにとって縦横に塗っていく施工法では縁の部分に斑ができやすくなります。
ドアパネルなどは1つの区切りとして縁を施工してから縁の中を縦横方向に丁寧に施工してみましょう。ルーフなどのパネルが大きい部分に関してはかえって塗り忘れが起きにくいので特に縁を意識しなくても問題は起きないと思いますが、法則に基づいて施工するなら届く範囲の縁を最初に施工するという方法が良いでしょう。
またコーティングやワックスの塗り過ぎは拭き取り時の労力を著しく増加させますので「適量」むしろ薄めを意識して塗ると全行程を通して上手くいきます。
5、拭き取り工程
極一部のコーティング剤では塗りっぱなしで拭き取りが無いというタイプも存在しますが、そういったタイプを除外すると必ず行わなければいけないのが拭き取りの行程です。
拭き取りにはマイクロファイバークロスなどの拭き取り性能の高いクロスを用いて、出来るだけ力を入れずに拭き取っていきます。拭き取る順番は上から順番。すなわちルーフから順に下に降りていく形で拭き取っていきます。理由としては拭き取る際に「粉」が出る場合、最後にルーフの作業を行うと、せっかく拭き取った後に粉が再付着するからです。
ドライ施工では塗り込みよりも、拭き取り残しに注意したいところで、特に硬化系のコーティング剤を拭き取り忘れると除去困難になります。拭き取り工程こそ法則に基づいた拭き取りで「クロスが通過しない部分」が無いようにしておきましょう。
またドアハンドルの隙間、ドアの隙間、フューエルリッド(給油口)の隙間などの細部には残る傾向にありますので、最後の仕上げで確認しましょう。細部の仕上げには麺棒などがあると便利です。
6、ドライ施工の問題点と対策
ドライでの最大の問題点は「傷付き」です。
同じことをしてもウェットでは傷がつかない、または非常に浅い傷しか付かないのに対してドライ状態だと傷が付くということは往々にしてあります。あとは異物の処理残しをコーティング中に拾ってしまうケースです。
前者で例を挙げるとウェットでマイクロファイバークロスを使ってもほとんど傷は入りませんが、ドライ状態で強くこすってしまうと非常にタッチの優しいはずのクロスであっても傷が入ってしまいます。これはクロスの質にも比例しますが、それくらいドライの状態は傷が入りやすいと思ってください。
後者の異物に関してはダメージ処理の手間しだい、あとはコーティング中にもある程度気を配っておくといいと思います。ドライ施工ではウェット施工と異なり、水分の乾燥などに気を配らなくていいので余裕をもって処理してください。
塗り込みと拭き取り工程において、必要以上に加圧しない、優しく丁寧にと表記してあるのは以上2点の要因による傷を増幅しないための処置です。ドライ施工では効果の高い施工ができる反面、傷つきのリスクが高くなりますのでその点を頭に入れて作業を進めることを推奨いたします。