コーティング剤の硬度に関して
エクスシールドの被膜硬度などに関してのFAQです。硬さって?何H?意味はあるのですか?などの疑問にお答えします。
A,エクスシールドの被膜硬度は何Hですか?
Q,塗膜評価試験のような正式な試験をするとモース硬度7H(石英)相当になります。
あくまで弊社の見解ですが、この試験の結果に何の意味もありません。この手の試験は10μ以上~の塗装膜状にして硬度を測定するため実際に施工した時の硬度とは全く異なるからです。
ましてや硬度の高いテストピース(ガラスなど)に施工して硬度を測ってもテストピースの硬度が測定できるだけで施工したコーティング剤の硬度が測定できる道理はありません。
色々なところでガラスコーティングの硬度を宣伝文句にしているため質問として多くなってきましたので「弊社の場合は硬度に関しては大きな意味も持たない、性能として特に認識していない」と明言しておきます。
効果として認められるのは圧力のかからない拭き傷の抑止が出来るという点くらいですが、この点についても一定の効果が認められるものの「証明に値する検証結果を提示できない状態」なので、検証中の案件です。
自動車塗装にコーティングをして硬度測定を行う手法をどうして取らないのでしょうか?弊社の検証内容を見て頂ければ分かるかと思いますが、実際に車に施工した時の状態を模した試験や検証をしなければ何の意味もありません。
通常硬度試験のデータを出す場合は塗膜試験テストなので「塗料」や「フロアコーティング」などの一定膜厚以上を対象として試験をします。
そこで得られた結果は硬度のほかに、耐薬品や防汚、耐久性、耐候劣化促進テストによる光沢維持などがありますが、実車施工を模したものでなければそのすべてが無意味です。試験データがある場合は「膜厚~μmのデータなのか」を確認してみましょう。
もしも実車に施工した膜厚で硬度試験を行ってもモース硬度で7H以上が確認できれば本当に硬度が出せる画期的なコーティングかと思います。
エクスシールドのアンチリスク被膜の硬度は?柔らかい?
複層なので硬度の概念がありませんがエクスシールドより柔らかいです。
エクスシールドのアンチリスク化しているメカニズムから説明しなくてはならないのですが、実のところ基本的な硬度はエクスシールドのベースとなっている7H相当のガラス被膜よりは柔らかいですが極端に柔らかくはありません。
説明に書かせていただいていますが「破壊性の向上」がポイントであり、物質硬度は部分的に落ちていますが大きくは変わりません。研磨剤であるアルミナなどは石英の7Hよりも硬いため基本的に硬くても研磨は可能なのですが、被膜密度が高いと研磨に時間がかかります。この点に着目しました。
エクスシールドは強制的に表層の密度が下がった状態を作り出すことによって「破壊性を向上」させます。そのため研磨剤で研磨した時に連鎖的に壊れる範囲が通常よりも大きいため、除去が容易であるという結果につながっております。
かなり端折って説明させていただいておりますが「密度の下がった状態」を作るにあたって、結合エネルギーの強力なエクスシールドではかなり難儀してトライ&ゴーしております。
Q,硬度が(高くても)硬くても何の意味もない?
A,証明が難しいですが、全くの無意味ではありません。
コーティングの性能の中で大きな性能として謳うのは難しいというのが現状ですが自動車コーティング以外の分野では表面処理関係の技術で、数μ~μ以下の表面処理によってその特性を得ていることもあります。
ガラスコーティングは非常に密着性が高く結合エネルギーが高いので「塗装表面の改質処理」に近い考えとして捉えるのも間違いではないと思います。要は表面処理に近いと考えます。
ただ現状の技術ではそれによって大きな圧力がかかる傷を防御するなどということは物理的に難しい問題になると思います。圧力が軽微である拭き取り時の細かな傷を低減するくらいの効果は弊社でも確認出来ています。
Q,硬度や硬さを生かす方法は無い?
A,あると考えています。生かす方法を考えるのが弊社の義務だと思っております。
通常高硬度被膜を形成した場合に起きる問題は追従不良による亀裂・割れです。高硬度でもある程度の屈折・収縮に対応できる性質、塗装への密着、結合エネルギーが高ければ生かすことが可能です。
被膜ではなく表面改質の考えであれば、塗装と分離して割れる心配も少なくなりますし「硬さ」のメリットも傷が付き難いという点でも証明ができるくらいの性能が出せるかもしれません。
ただ自動車コーティングは塗って拭き取るという超簡易的な施工方法なので、その施工方法で実現させるという点も大きな壁だと思います。
よってコーティング剤としての物性だけではなく、施工方法等も研究していく必要があります。