自動車の黄砂被害
傷やシミの原因となる中国からの飛来粒子物質「黄砂」について
黄砂とは
黄砂とは読んで字の如く黄色い砂ですが、粒度から分類すると日本に飛んでくる黄砂は非常に細かく、地域によって飛来する粒度の違いはあるようですが概ね10μm程度の大きさで、分類的には「泥」に属します。(※砂と泥の違いは粒子の大きさで異なります)
黄砂は中国大陸内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの乾燥した地域の土壌で砂嵐などが起きた時に、巻き上げられたものが上空の気流によって偏西風に乗って日本などにも到達します。
中国からの飛来なので日本でも黄砂の降り注ぐ量が異なり、西日本や日本海側で多く観測されます。近年は関東地方でも黄砂の量が増え、東北地方でも観測されるようになってきており、砂漠地帯の拡大や気候の変化などが原因とされているようです。
黄砂被害
中国本土では黄砂の量も日本の比ではなく、酷い時には太陽の光を覆い隠して日中でも暗くなるほど黄砂が舞っているような状況になるそうです。物的な被害はもちろん、このレベルになってしまうと吸引による健康被害も深刻になってくるようでマスクなどによって吸引の防止などをする必要があります。
車の塗装への被害
風の向きによっては日本でも連日黄砂が観測されるような事があります。黄砂は塗装にダメージを与える原因となります。ダメージの種類は黄砂粒子による傷、もう一つは黄砂が積もった状態で雨→乾燥によるシミ(イオンデポジット化)でず。
見た目と時期の関係で花粉のシミと非常に見分けがつきにくいのですが、花粉とはダメージの種類も除去方法も異なりますので知識として知っておく必要があると思います。気象情報などから黄砂と花粉の飛散情報を見ながら判断しましょう。
類似被害~花粉
花粉が乗った状態から水分などが加わると花粉からタンパク質成分などが溶け出し、乾燥時に塗装に吸着したまま収縮し、シミになってしまう。花粉自体に粘着性があるため通常の洗車では花粉除去を完璧にする事でシミの増殖を防ぐことが重要です。
シミに関しては花粉を除去しても消えないため、別途処理する必要があります。
黄砂によるシミ(イオンデポジット化)
黄砂が積もった状態で雨水などが乾燥すると黄砂から溶け出した有害な成分が原因と思われるシミが出来ることがあります。見た目は単純にイオンデポジットなのですが、通常の雨が乾燥しただけでは出来ないような強固なデポジットになってしまいます。
有害成分に関しては諸説ありますが、飛来してくる距離もさることながら「大気汚染が深刻な中国」から飛んでくるという点もありますし、日本だって大気汚染が深刻な場所も存在していますので「黄砂が汚染物質」を連れてくるという説は、あながちウソではないのかもしれません。
代表的な汚染物質として知られているのが自動車から排出される窒素酸化物、炭化水素(ガソリンの未燃焼ガス)、粒子状物質(黒煙のことですね)が代表的ですが、どんな物質が黄砂と結びつきやすく影響を与えるのかなどは正直なところ不明で、確信を持てるようなデータなどがありません。
ただ事実として黄砂の飛散量が多い時期に洗車を頻度を落として放置気味にすると、いつもは簡単に落ちていた雨シミなどが強固にこびり付き、強固なイオンデポジットになってしまう事が全国で散見されております。
一つ確実であると考えているのは黄砂自体が鉱物を含む粒子なので、雨でイオン分が溶解し乾燥することによって水道水によるイオンデポジットのように強固なシミになってしまうという事です。有害物質に関しては之に+αの要素として関連していると思われます。
黄砂による傷(黄砂による洗車傷)
具体的な対策や黄砂に対する傷つきの抑制などの情報に関しては長くなりますので別にページを設けましたが、単刀直入に申しますと、黄砂によって傷が出来てしまう事はありますが、傷を抑制するために洗車の頻度を落とすということは推奨しておりません。
傷とシミ・・・何を取るかによりますが、洗車をさぼれば当然黄砂によるシミの影響を受けますし、季節的なものや天気予報の風向きや風量である程度は予測できるものの、いつ何時飛んでくるかわからない黄砂に対して洗車の抑制という姿勢は決してプラスにはなりません。
粒子状物質は細かければ細かいほど定着や凝縮(粒子状のものが互いにくっつき合う状態)しやすくなります。日本まで飛来する黄砂の粒子径は平均して10μm前後とのことですが10μという粒子径は自然に存在する粒子物質の中では細かい部類です。
要はくっつきやすい状態の粒子状物質です。砂と泥、払って綺麗に取れるのはどちらか?泥のほうは「汚れ」として残りそうなイメージが出来ると思います。黄砂という名前ですが粒子としての分類では「泥」にあてはまる黄砂は車の塗装への密着性や積層していくという性質が非常に厄介なのです。
それでは具体的な対策を考察してみましたので、ユーザー様自身の環境にあった方法で黄砂被害を最小限にしましょう。