ヘッドライトレンズの黄ばみ・曇り・白化
樹脂性レンズに変わってから多くのユーザーが悩みを抱えているヘッドライトレンズの曇り、黄ばみ、白化の原因と対策を解説
ヘッドライトレンズが曇る原因
これは実はかなり多様になりますので主の原因を特定できたとしても復元方法が交換しか無い場合もあります。弊社ではありえる現実を嘘偽りなく書かせていただき、不当に商品購入を煽るようなことはいたしません。
※外車など一部の車に対しては以下記載以外の原因、処置の方法があります。販売店等にご相談の上判断してください。
表面の汚れ・ハードコートの劣化
一番多く、復元可能なケースです。現在ヘッドライトレンズは透明性の高いポリカーボネート、アクリル等に代表される樹脂を使用し表面に耐傷等のハードコートを施工してあります。
もちろんハードコート自体もかなり耐久性の試験等を重ねた信頼のおけるものなのでしょうが結果的には皆様が感じているようなトラブルを発生しているのが現状です。レンズ樹脂やハードコート剤はメーカーによって異なりますので、ある程度傾向的に発生しやすい車種年式などが存在することも確かです。
劣化原因は紫外線と熱による劣化。一昔前は紫外線カットガラスでないHIDバルブによる白化促進という現象もありました。あとは使用している石油系のケミカルの残留、アルカリ系ケミカルの残留などがハードコートを侵食しているケースもあります。
屋内保管車、屋根付き駐車場に車を停めている場合はレンズの劣化が少ない傾向がありますので、太陽光の紫外線の影響は比較的多いのかもしれません。
ハードコートの復元方法
まだらになってしまっていたり、完全に全面曇ってしまっていたりしますのでまずは劣化被膜を研磨によって落とす必要性があります。3000番くらいのペーパーがあればペーパーでも構いませんが、線傷などを作ってしまうと修正できないので「細目」のコンパウンドで根気よく研磨し、次に表面の透明性を出すため仕上げ用の超微粒子研磨剤を使用します。
ペーパーを使用する場合
ハードコートが厚く、更に部分剥離しているような場合は研磨剤だけでは役不足なので耐水ペーパーを使用して研磨していくことによって綺麗な面を得られますが、耐水ペーパーは目の細かい3000番以上のペーパーを使用しないと修復できない傷が入りますので注意が必要です。
表面を確認しながら磨きを行うとともに、ヘッドライトの周囲(フェンダーやバンパー、グリルなど)の部品に傷が付かないようにあらかじめマスキングテープなどで養生しておくことをお奨め致します。
ペーパーで大まかな部分が除去できましたら、曇りが取れるまで細め→超微粒子という順番でコンパウンドを使用して磨いていきます。ポリッシャーがあると便利ですが、シングルアクションポリッシャーのような高速回転で熱が発生する機械は樹脂レンズには基本的に向いていません。
使用はもちろん可能ですが、熱による焼付きや歪みが出ないように熱を抑えて磨きましょう。
仕上げ
最後にマイクロファイバークロスで表面を拭きあげて確認します。不十分な場合は繰り返し研磨を行います。なお研磨しても変化が見られない場合はレンズ内側の曇りの可能性があります。
表面が綺麗になったら、表面の耐傷劣化対策として硬化系のコーティングを施工して完成です。樹脂への密着性が高いコーティング、なおかつ耐久性が高く、酸化劣化しにくいという条件下では硬化型ガラスコーティングという選択になってしまいます。
弊社エクスシールドはヘッドライトレンズ対応しておりますし、Reシールドは(劣化の程度が軽い場合)劣化部位の除去と、硬化型被膜の形成をワンステップで同時に行うことが可能です。
レンズ内側の曇り、黄ばみ
車種によって発生に偏りがみられるため「製品不良」的な要素はあるかと思いますが、実際に機能上支障が出ない限り保証請求や無償交換の依頼は難しいと思います。保証期間内であれば販売店に早期に相談したほうがいいと思います。
実際にレンズ内側の曇りや黄ばみを除去するとなると、レンズを単体で取り外す作業が必要になります。この作業はイカリングをヘッドランプユニットに組み込む業者さんが得意な作業で「殻割り」などと呼ばれますが結構大変です。
自作でも可能ですがオーブンのような機械でレンズを全体的に加熱してレンズのコーキング材(防水接着剤)を柔らかくした状態で「爪」を外していけばユニットからレンズが取り外せます。
外側と同じように研磨すれば大抵は落ちますが、中にはコーキング剤に含まれる溶剤かユニット本体から揮発した溶剤が原因か不明ですが、細かいクラック(ケミカルクラック)や溶解しているような状態になっていることがあり、この場合は修復困難です。
クラックの場合
レンズにクモの巣を張ったような細かい無数のヒビがある場合は熱、もしくはケミカルによるクラックで修復は不可能に近いです。ハロゲンからHIDに変更したり、ハイワット化することによってリスクが高まりますが、純正の状態でも見受けられます。
殻割りによるレンズ交換。レンズ交換が不可能(部品供給がない場合)はユニットごと交換ということになってしまいます。
保証修理の可否については販売店にご相談ください。弊社では判断できかねます。
リフレクター焼け、曇り
純正ランプのままでも稀にある症状ですが、ハイワットバルブやハロゲンからのHID化で一番多い症状で、ヘッドライトユニットの内部の(メッキ)銀色の部分であるリフレクター(反射板)が焼けてしまう症状です。
これはレンズ関係とは若干感じが違うので見分けはつきやすいと思いますが、対策としてはリフレクターのみ交換ということはできませんし、DIYでメッキ処理は不可能ですからユニット交換になってしまいます。
症状として顕著に現れるのが、光軸(カットライン)が出ない、光度が不足するといった現象です。
磨いたまま放置すると劣化促進する
市販品・業販品問わず、基本的に研磨剤を含む製品で磨いてしまえば見た目は綺麗になります。しかしながら純正品の状態でも劣化対策で樹脂に対してコーティングを施しているため、磨きっぱなしで放置するとやがてコーティングが切れてしまい素地が出てしまいます。
素地のままですと、表面の劣化サイクルが非常に早く、更に材料が薄いため表面だけではなくレンズ自体が劣化してしまうケースもあります。簡易的なものでも構いませんので酸化・劣化に強いコーティングを定期的に施工しておきましょう。
硬化被膜型の場合は長期間持続し、保護性能も高いので弊社ではお奨めしております。