ホイールの難除去汚れ落とし(実践編)
このページではCPM製品を使用してのブラック系塗装の難除去汚れに対するホイールクリーニングの手法と効果を解説します。
ホイールクリーニング関係の情報は他にも鉄粉の発生原理などを解説したページ、洗い方の基本知識などの詳細情報、ホイールの素材・塗装表面処理や種類のページがございます。
■ホイールの前洗浄編
クリーニングを行うのは洗車と別でも構いません。基本的に私個人としては別々で実施することも少なくありません。
洗浄は普通のカーシャンプーでも構いませんが洗浄中の感想に気を使うのも面倒です。ここではアンチデポジットカーシャンプーを使用します。希釈濃度は50~100倍で泡立ち重視、洗浄能力強めで処理します。
■ホイール洗浄に使用する道具について
ブラシやスポンジがありますが、ブラシに関しては毛の硬さが様々なので注意しましょう。特にホイールに関しては傷に気を使わないという場合でも、固すぎて洗いにくいという製品もありますので、ブラシを選ぶにしても少し柔らかめのものを選びます。
柔らかいブラシは部位への追従性はいいのですが耐久性は低くヘタリやすいです。業務で使用する以外の一般的な頻度の使用ならば数ヶ月は問題なく使用できるはずです。
硬いブラシは耐久性が良いのですが、傷が入りやすいです。ソリッドブラックの塗装ホイールは常用していれば瞬く間に傷でくすんでしまうでしょう。傷を気にする場合は推奨出来ません。
お奨めはスポンジですCPMのスポンジは「超微細発砲コーティングスポンジ」「面圧分散低反発コーティングスポンジ」がありますがどちらもご使用いただけます。
これらのスポンジをカットして三角形のスポンジにしておくと細部の洗浄に便利です。スポークの多いホイールでは必須ともいえますので是非準備してみてください。
■一次洗浄(仮洗い)
普通にカーシャンプーで洗浄するだけの状態を指します。固形の泥などが付いている場合はここですべて除去しておきましょう。
なぜこのような面倒くさいことをするかと言いますと、普段からよほど細かくメンテナンスしていない限りは汚れた状態から本洗いしても仕上げの段階でかなりの汚れが残っていることに気が付くはずだからです。
そして残った汚れがどういった類のものか判断するための布石です。逆にこの段階で大した汚れは無く普通に綺麗になりそうな場合は仕上げを行えばいいだけということになります。
■付着している汚れの種類を考察する
ホイールは意匠性の高い部位において車の中で最も過酷な環境に晒されているパーツです。よって汚れに関してはどのような種類の汚れが付着して要るのか理解してケミカルを選択する必要があります。
●タール、ピッチ、グリスなど油分に関連する汚れの場合
これらの汚れの場合は洗剤の界面活性剤による油分分解能力だけでは不足している可能性が高く、シャンプー洗浄だけでは除去できないケースが多いでしょう。
CPMでは石油系有機溶剤を取り扱っていませんので代用できるものとしてはアルコール系脱脂処理剤がありますが、もしこれらを確実に除去することが目的であるならばホームセンターやカー用品店で入手できるシリコンオフなどと言う名称で販売されている製品をご購入いただきたいと思います。
アルコール系脱脂処理剤も油分分解能力に優れておりますが、あくまでボディーの脱脂処理レベルを目的としております。そのためシリコンオフなどの石油系有機溶剤と比較するとその能力は劣ります。
グリスに関しては焼き付いて固化している場合は有機溶剤を使用しても分解できず、有機溶剤を浸透させたのちに物理的な手段(ヘラなどで削るなど)を行わなければいけないケースも存在します。この現象は車種によって発生するので一概には言えません。
●鉄粉・イオンデポジット(ウォータースポット)系の汚れの場合
まさにCPM製品の出番です。通常は鉄粉除去剤とイオンデポジット分解除去を別々にしかも時間をかけて何度も行わないと除去できないレベルの汚れが短時間で処理できる製品があります。
デポジットブレイカーです。特にブラック系塗装のホイールは近年流行になったりしましたが、汚れが付いてくると取れにくく白ボケしてきます。これは通常の洗車では落としきれないデポジットが多発しやすい環境だからです。
逆にホワイト系、淡色シルバーの場合は鉄粉汚れが目立ちますがこれらも同時に処理が可能です。例えばイオンデポジット、鉄粉系の汚れの例ですが、下の画像のようになっていませんか?これはシャンプーで一次洗い(大まかに洗浄)した後の写真です。
この様な汚れは目立ちにくいカラーのホイールでも付いていますがブラック系ではとにかく美観の劣化を激しく感じてしまいます。大抵水分が高温で乾燥して出来たイオンデポジットとブレーキのディスクから発生する鉄粉などの複合汚れです。
先ほど説明させていただいた三角にカットしたスポンジとデポジットブレイカーを使用して汚れを擦っていくと・・・特区別な技術は必要なく、いとも簡単にデポジットと鉄粉の複合汚れを除去可能です。
強力な薬剤なので大切なのは技術よりも守っていただくべき取扱い方法です。特に薬剤を使った場合は滞留しないようにしっかりと濯ぎを行うことを忘れないようにお願いいたします。
綺麗にすれば存在感のあるブラック系塗装のホイール、さりげないデポジットブレイカーの映り込みで宣伝してみました。
■仕上げを工夫する
ホイールは凹凸が多く水残りなどが多いため洗ってもすぐに汚れてしまいがちですし、ボディーに飛んでしまっても面白くありません。
そこで極力水分の残留を無くすために、マイクロファイバークロスなどで水分を拭き取るのはもちろん、ホイールのナットホールとナットの隙間にたまった水を空気で吹き飛ばしてしまいましょう。
専用の機器としてブロワという製品がホームセンターなどで売っていますが、わざわざ購入する必要はございません。身近にあるものでも意外と対応できるものです。
その一つとして提案したいのが、自転車の空気入れ+ボールの空気入れアタッチメントです。ボールの空気入れアタッチメントは針のように尖った先端をしているので狭い隙間に空気を送り込む用途に適しています。
ボディー全体のブロワには適しませんが、ナットホールとナットの隙間には最適と言えます。先端は丸まっているとはいえ金属部品なので誤ってホイールを傷つけないように注意する必要があります。
これらの道具がない場合でも、周辺を一回走ってから水滴を再度拭き取るというユーザー様もいらっしゃるでしょうし、様々な工夫を凝らすことも洗車の楽しみと言えるでしょう。こういった工夫によって再度イオンデポジットが固着することを少しでも予防するといいと思います。
ここまで綺麗に仕上げるとコーティングを施工してみたくなるのが人間というものです。ホイールコーティングに関しては別のページで解説します。